◇韓国の貌(小坂泰子写真展によせて)◇

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「韓国の貌」小坂泰子写真展―河正雄コレクション姜鳳奎写真賛助出品に寄せて

光州市立美術館名誉館長 河正雄

 韓国の現役元老写真作家姜鳳奎先生は二〇〇二年ワールドカップサッカー大会開催日韓国民交流年を記念して東京、仙台、大阪、新潟、広島に於いて「韓国人の故郷」写真展を開いた。この写真展は在日コリア同胞の心にある故郷への想いを募り日本国民にとっても共感を呼び、韓国理解の懸け橋となる誠に良い時期を得たものと思う。

 姜先生は今日を生きる韓国人の情緒と内なる心を投影した作品を発表してきた作家である。一貫したテーマは誰にでもある「故郷」である。韓国人の「故郷」とは韓国人の「貌」でもある。「伝統的な精神」「韓国(的)人らしいもの」「自分らしいもの」を写真芸術の生命である個性を表現している。研ぎ澄まされた作家精神の深さに感動させられる。韓国人の生活と精神(心)を撮すと評価される作家である。

 過ぎ去ったもの、失われたもの、忘れ去られたもの、かけがえのないものに対して愛情を持って写真美学に昇華された。「自己を知る事は他を知る事」を哲学とした自画像を現したのである。この度の「韓国の貌」小坂泰子写真展は「自分探し」の写真展であるともいえる。我々は「韓国の貌」展で日韓両作家の人間的な温かな視点と鋭い洞察と時空を超えた世界から現代の文明批評と読みとる事が出来る事だろう。

 姜先生の略歴を紹介する。一九三五年全南和順に誕生。全南大学校経営大学院終了後、全南日報で写真部長、出版局長を歴任され大韓民国写真展覧会の招待作家として審査委員となる。一九九三年には光州芸総会長就任、九五年には第一回光州ビエンナーレ執行委員長を歴任された。その業績によって九六年には銀冠文化勲章を授与される。

 著書には「姜鳳奎写真集」「韓国の故郷」(文化広報部推薦図書)「韓国人の顔」「月と風と木のある家」などがある。現在、国展の招待作家として活躍され新境地を開いた現役の元老作家である。

 「韓国の貌」展開催にあたり小坂泰子、姜鳳奎両先生の創作活動の発展とこの度の写真展が実りある韓日親善と両国民の理解を増進する機会となることを念願し盛会を祈るものである。

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