◇NPO法人「共に生きる国際交流と福祉の家」での講演B◇

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 韓国人の情緒の問題を話したいと思います。情=チョンですね。日本も中国も情の国です。漢字圏、東洋の圏内は、情の文化ですね。ただ情の発露の仕方が、日本人も違うし韓国人も違うし中国人も違うし。各々の情というもの、情緒というものを理解していくことで、韓国の人をよく理解できると思います。

その国の民族の喜怒哀楽というか生活を人間を理解する上で情緒(ジョンソ)を理解すれば、早く韓国の人を理解する道が近づくと、言えると思いますので、情緒に触れる話をするわけです。

 韓国の旗は、日本は日の丸、日章旗ですけれども、そんなのわかってるよと皆さん言うかもわかりませけれども・・・、太極旗(テグ旗)ですよね。出来て150年も経ってないと思いますよ。旗を説明するとこれも長くなりますので全部は説明できませんけれども、太極旗の内容について知ってもらいたいと思うんですよね。

日の丸の説明は皆さんどういうふうになさるのかわからないけれども、非常に難しいですね・・・。東洋の思想と哲学、宇宙の神秘性をこの中に象徴しています。新しい創造をして、平和と社会公共の利益になる公益の精神ということを、基本にしているようです。赤と青の中心は陰と陽、プラスとマイナス、昼と夜、明と暗、建設と破壊、男性と女性、動と静、火と水等をあらわし宇宙原理の考え方を旗の中に網羅しているようで意味合いの深い国旗です。

 次に国の花ですけれども、日本の国の花はなんでしょうか。桜ですか? 自信持って桜だと言える人は手を上げて下さい。後の方は自信ないんですね。たぶん菊だと心の中で思ってる方いるんじゃないかと・・・。さあどちらかと・・・、桜ですね。日本の方は、身近な自国の国花に対して迷うんですね。半分以上は「菊じゃないのか」なんて答えて、自信持って桜だと言う人は少ないのです。

それくらい国花に対して、愛着がないというか恐れてるというか、残念です。韓国の国花はムクゲです。夏から秋にかけて咲く花ですよ。落ちては咲く、落ちては咲く。朝ひらいては夜しぼんで、また朝ひらく。非常に生命力が強い。韓国の民族を表してるんじゃないかと思います。そういうところからも愛されてるんじゃないかと思います。戦前日本の植民地時代には、韓国の国旗は使えませんでした。それで韓国の人たちはムクゲの花を掲げて、民族の意志を象徴として込めました。そういう情緒をわかっていただきたいということです。

 次に韓国の宗教についてお話をしますと、儒教が国教になった時代があるんですけど、それまでは仏教でしたよ。基本は仏教で、朝鮮朝になってから儒教になって、そして今は儒教じゃありません。

韓国というとすぐ儒教の国って頭に浮ぶと思いますけれども、宗教はだいたいキリスト教が半分、それから仏教が半分くらいですね。それを足すと90%。後残り10%は何かというと儒教・・・。儒教は宗教とは言わないんだけれども、儒教の教えは非常に根強く、国の基幹になった教えなものですから、国を司った、儒教の教えは生活の規範として今でも残っているということでしょう。

私も非常に儒教的だってよく言われるんです。それは親の教えとかで生活の規範として、まだそういう残り火があるんでしょう。宗教から韓国の人を理解するには、非常に現実主義であること。非常に楽天主義です。この辺をよく理解していただければいいなと思います。別にこの宗教でなきゃならんというような、1つの宗教にはなってない。

現在、韓国の状況を見るともうごった混ぜですよ。日本の宗教もたくさん入り込んでますよ。みんなそれを受け入れるんですね。要するに現実主義で・・・受け入れるというようなところが、韓国の人の宗教観だと思います。儒教は日本も江戸時代・・・特に武士だとか庶民で広く学問が発達しまして、江戸幕府なんかは特に朱子学等、儒教倫理に関する道徳を非常に重視した・・・。儒教の教えの中で、私が大事にしているものは、人生哲学、人間関係などに大事な教えがあると思います。私は別に学んだわけじゃないし、儒教の教えを特別受けたわけじゃありませんが儒教的なものは残っていると。韓国の人達にはそういうものが色濃く残っているということを、理解しておいていただければいいなと思います。

 それからまた韓国の人を理解する時に、韓国人というのは・・・まあ日本もそうですけど・・・義理人情というものに非常に厚い。日本でもいますね、隣同士はもう親戚よりも近いというような・・・、隣同士に対して非常に情が厚い。それから家族とか親族等、血族はもとより、地域社会の集団に対しても非常に帰属意識が強いです。例えば学校の同門とか、河家なら河家という家門、そういうものへの帰属意識が非常に強いです。それは儒教精神から来てるんじゃないかと思います。

 次に知ってもらいたいのは、これも儒教精神の中から出てきてるものだと思います。要するに親に孝行する、親を大事にするという考え方です。親に孝行を尽くすことが、そのまま社会・国家に対する孝行だという考え方ですね。私もそういう考えで生きています。

韓国では、親に対して孝行するということを、大事な考え方として今でも規範が残っています。日本は最近、殺伐として、悲しい事件がたくさんあるわけですけれども、日本の皆さんに言いたいことは、先ほど国旗や国花の話もしましたよね。

「愛国」という言葉を日本人は皆さんあんまり好きじゃないように思いますよね。大きな意味で、もっと包容力のある考え方で、愛国というのは僕は必要だと思いますよ。国を愛することとか、親を愛することとか・・・。それから日本人が欠けてるのは何かと言うと、先生を大事にしない。韓国の人は先生を大事にしますよ。この3つですね、非常に大事にします。

私は日本の学校で卒業した男です。日本の先生しか学んでいません。別に自慢で言うんじゃないですけれども、親も負けないほど、先生を大事にして今日まで生きてきたし、それ以上に親も大事にして生きてきたというふうに私は言えます。こういう情緒をわかっていただきたい。

別に私は日の丸がどうだとか言うんじゃないんですけれども、国のシンボル的なものに対しては、もう少し考える必要があるんじゃないかなと、思っています。悪い、戦前の日の丸のイメージ・・・日本が神国であった日の丸のイメージでもあるわけですね、そういうものの考え方で日の丸を崇拝したり尊敬したりするんじゃなくて、やはり魂とか精神については大事にする必要があるんじゃないかなと、私はいつも思っているんです。

Cにつづく

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